工務店・リフォーム業のHPに必要な「実績ページ」の最小構成COLUMN / 2026.05.07

見積もり依頼のメールが来る前に、施主は必ずホームページの「施工事例」を開きます。実績ページが弱い工務店は、価格や腕前以前に「本当に地元で動いている会社か」を疑われて離脱されます。とはいえ、写真が下手・お客様の声が無い・古い案件しかない、と止まっている工務店も多いはずです。今回は 1件あたり最低限載せる6項目、スマホでも十分な撮影のコツ、写真が無いときの代替策、そして建設業法・景表法の最低ライン まで、雪工房の工務店デモ2件の実例とあわせて整理します。

「うちのHPって、結局どこを直せば仕事につながりますか?」と工務店さんから聞かれることがあります。答えはほぼ毎回同じで、施工事例(実績ページ) です。トップページのキャッチコピーや代表挨拶を磨くより、ここを5件埋めるほうが早く効きます。

とはいえ、実績ページを作ろうと思っても「何を書けばいいか」「写真はどのレベルで載せるか」「お客様の名前は出していいのか」「許可番号って書く必要あるのか」で手が止まる方が多いです。この記事では、社員5名以下の地域密着工務店・リフォーム会社が、無理なく続けられる 実績ページの最小構成 を順に整理します。

なぜ実績ページが受注の9割を決めるのか

静岡県東部のような 地縁で仕事が回る地域 では、施主は最終的に「2〜3社相見積もり」で決めます。その2〜3社をどう選ぶかが、HPの実績ページで決まります。富士市・富士宮市の対応エリア でも、近所の現場の写真があるか無いかで一次選考の精度がまるで違ってきます。

施主が見ているのは、立派な施工写真ではありません。「自分と似た条件の家を、いくらぐらいで、どれくらいの期間でやったか」 です。築30年・延床35坪・予算300万円のリフォームを検討している施主は、同じくらいの規模の事例があるかを真っ先に探します。会社概要の創業年や代表挨拶ではなく、自分の状況に置き換えられる事例こそが、見積もり依頼ボタンを押す引き金になります。

逆に言うと、立派なロゴやおしゃれなコピーがなくても、近所の事例が10件並んでいるだけでHPは強くなります。実績ページは「営業マン」ではなく「実在証明」です。地域密着の工務店であれば、ここにもっとも工数を割くべきです。

1件あたり最低限載せる6項目

実績ページに載せる施工事例は、1件あたり次の6項目を埋めるのが現実的な最小構成です。「全部完璧に」を狙うと続かないので、最初は2〜3項目しか埋まらなくても公開してしまうのが正解です。

項目書く内容なぜ必要か
① 施工前後写真同じアングルで撮ったBefore/After1枚で品質が伝わる、最強の証拠
② 所在地市町村レベル(沼津市・富士市・伊豆の国市など)地域密着の証明、近隣での安心感
③ 工期着工から引渡しまでの日数または週数検討中の施主が自分の段取りを逆算できる
④ 施工内容外壁塗装/フルリノベ/水回り等のカテゴリと具体作業自分の案件と直接比較できる
⑤ 予算帯「150万円台」「200〜300万円」など幅で表記値段不透明感の解消、最大の離脱要因をつぶす
⑥ お客様の声一文でも可(施主の言葉そのまま)信頼の決め手、後述のステマ規制対応にも直結

とくに重要なのは ⑤の予算帯 です。工務店HPで一番離脱されるのは「料金が一切書いていない」状態です。一円単位で正確に書く必要はなく、「150万円台」「外壁塗装120万円〜」のように で書くだけでも、施主の安心感は段違いに上がります。

逆に、無理に書かなくていいのは「使用建材の細かい型番」や「職人ごとの担当工程」です。最初の1件は60点で公開し、2件目・3件目を載せながら整えていけば十分です。

写真の撮り方ガイド — スマホでも十分

実績写真は、一眼レフがなくても十分です。最近のスマホは広角レンズが標準で、室内全体を1枚に収めるのに困りません。むしろ、月1回しか触らない一眼を出してくる手間で投稿が止まるくらいなら、現場で常に持ち歩いているスマホで撮るほうが現実的です。コツは次の6つです。

  • 順光で撮る ── 太陽を背にして被写体を撮る。逆光だと外壁が真っ黒に潰れる。外観撮影は午前か夕方の斜光がいちばん建物の陰影が出る。
  • 広角は中央寄せで使う ── スマホの広角(0.5倍)は端が歪むので、見せたい部分は画面中央に置く。家具や設備の正面写真は標準(1倍)に戻す。
  • Before/Afterは同じアングル・同じ高さ ── 床から1.4m前後・部屋の隅から斜め45度がだいたい正解。三脚が無ければ壁にスマホを押し当てて固定すると手ブレが消える。
  • 縦か横か、案件内で揃える ── 1件の中で縦横が混ざっていると、HPに並べたとき不揃いに見える。最初に「この案件は横で撮る」と決めてから入る。
  • 人と表札・車のナンバーを写さない ── 朝一・昼休み・夕方など人がいない時間帯に撮る。住所や個人を特定できる情報は構図から外す。
  • 引渡し前にまとめて撮る ── 竣工直後の養生が外れたタイミングが一番きれい。家具搬入後だと生活感が入って素材が見えにくくなる。

余裕があれば、Before撮影時に「玄関の左隅・床から140cm・横構図」と一行メモを残しておくと、引渡し時のAfter撮影で同じ画角を再現できます。

写真が載せられない場合の代替

守秘義務がある案件、施主から掲載NGをもらった案件、過去の遠方現場で再撮影できない案件——どんな工務店にも「いい仕事をしたのに載せられない事例」はあります。そういうときに使える3つの逃げ道です。

  • イラスト図解で代替する ── 手描きの間取り図、Before/Afterを線画で並べたスケッチ、断面図など。写真ほどの説得力はないが、工程の理解には十分。むしろ「ここに梁を入れ替えた」など職人技が伝わりやすい。
  • 工程中の写真を使う ── 壁を剥がした断面、配管交換中、屋根の下地、基礎の補強箇所など。施主が特定されにくく、完成写真より「中で何をやったか」が伝わるので技術訴求に強い。
  • 部分マスキングで掲載する ── 人物の顔モザイク、表札のぼかし、車のナンバーマスキング。一部だけ守れば、全体は載せられる。スマホの編集アプリで30秒で済む。

「載せられない」を理由に空白のままにするより、こうした代替手段で「やった事実」を残すほうが効きます。とくにリフォームでは 工程中の写真 こそ職人の腕が直接伝わるので、本来は完成写真より価値があります。

【法令対応】実績ページに最低限おさえる5項目

ここからは、表現や写真の扱いで踏んではいけない地雷を整理します。「どこかで聞いた話」ではなく、根拠条文と過去の処分事例にもとづくチェックリストとして使ってください。

  1. 建設業許可番号 ── 建設業法第40条が定める標識掲示義務は、店舗と工事現場が対象で、ホームページそのものは含まれません。とはいえ、施主側からの信頼度が一段違うので、許可業者は記載が推奨です。一方、軽微な工事のみで許可を取っていない事業者(建築一式1,500万円未満/その他500万円未満の請負)が、許可業者と紛らわしい表記を使うと、後述の景表法上の不当表示に問われるおそれがあります
  2. 二重価格表示 ── 「通常価格20万円のところ12万円」のように、実際の販売実績が無い「通常価格」を併記するのは、景品表示法第5条が禁じる不当表示(有利誤認表示)に当たり、違反した場合は同法第7条第1項に基づく措置命令の対象になります。リフォーム業界でも、2017年6月8日に株式会社ナイスリフォームに対し、合理的根拠のない「当社通常価格」との二重価格表示が有利誤認表示にあたるとして措置命令が発出されており、業界として明確にNGです
  3. 「地域No.1」「満足度100%」表記 ── 合理的な根拠(第三者の調査、母集団の明示など)を示せない順位表示・最上級表示は、景品表示法第5条上の優良誤認に当たるおそれがあります。実績ページのキャッチコピーで安易に使わないこと
  4. お客様の声の編集・抜粋 ── 2023年10月1日施行のいわゆるステマ規制(景品表示法第5条第3号に基づく告示)では、事業者が施主から受け取った声から 好意的な評価だけを抜粋 したり、文言を恣意的に改変したりすると、表示内容を事業者が決定したとみなされ、広告である旨を明瞭に表示しないと景表法違反となるおそれがあります。原文をそのまま掲載するか、編集する場合は「事業者編集」など広告主体を明示する運用が安全です。サクラや他人の体験談の使い回しは当然NGです
  5. 施主同意と住所の粒度 ── 施主の氏名・顔写真・建物外観の特定情報を載せる場合は、書面での掲載許諾を取りましょう。住所は 市町村レベル にとどめ、丁目・番地は出さないのが業界慣行です。個人情報保護法の趣旨にも沿います

実務上は、施主との契約書または引渡し時の書類に「施工事例としてのHP掲載に同意します/同意しません」のチェック欄を1行入れておくと、後から都度確認する手間が消えます。

雪工房の実例 — 巧匠工務店と狩野川工房の構成

ここまで整理した6項目をどう詰め込むかは、工務店のキャラクターによって変わります。雪工房のポートフォリオには工務店デモが2件あり、それぞれ違うアプローチで実績を見せているので、構成の参考にしてください(どちらも雪工房が用意した架空のデモサイトで、実在の事業者ではありません)。

1つ目の 巧匠工務店|TAKUMI KOUMUTEN は、ダーク基調の墨色 × 朱赤の差し色で 写真の力に振り切った 構成です。施工事例ギャラリーが画面の主役で、説明テキストは短く整理されています。職人の手仕事と素材感で選ばれたい工務店、価格訴求ではなく仕事の質で勝負したい職人系の事業者に合う方向性です。実績ページの「① 施工前後写真」と「② 所在地」を最大化したパターンです。

2つ目の 狩野川工房|KANOGAWA KOUBOU は、深緑 × クリーム × 焼き土の温かいトーンで、注文住宅・性能向上リノベ・外構工事を ワンストップで紹介する地域密着型 の8セクション構成です。施工事例 → お客様の声 → 家づくりの流れまで、検討フェーズに沿って導線が組まれています。リフォーム単発ではなく、複数業務をまとめて受けたい地域工務店向きです。「⑥ お客様の声」と「④ 施工内容」を厚く見せたい場合の参考になります。

同じ「工務店HP」でも、ダーク・ギャラリー型と温色・物語型では受ける施主層が変わります。自社が どっちの施主に来てほしいか を先に決めてから、実績ページの並べ方・写真のトーン・テキスト量を選ぶのが近道です。

まとめ — 撮るのは今日、載せるのは明日でいい

実績ページは「立派にしてから公開する」のではなく「公開してから育てる」ものです。完璧な6項目が揃った1件を待つより、3項目だけ埋まった1件を今日公開し、来週もう1件足すほうが、半年後のHPは確実に強くなっています。スマホで撮った写真と、施主から口頭でもらった一言と、市町村名と工期。これだけで最初の1件は十分に成立します。

静岡県東部の小規模工務店・リフォーム会社で「実績の見せ方を相談したい」「写真はあるが構成に自信がない」という方は、巧匠工務店・狩野川工房のデモを一緒に見ながら方向性を握るのが早いです。雪工房は買い切り月額0円のホームページ制作で、こうした実績ページの設計から運用ルール作りまで対応しています。

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